EMDRコンサルテーション
日本EMDR学会では、EMDRの臨床技術の更なる向上を図り、ひいては日本におけるEMDRセラピストの裾野を広げていくためにはコンサルテーションや勉強会の活動を学会として後押しをしていく必要性を強く感じています。
コンサルテーション活動は、本来ならばコンサルタントが受講者から料金を徴収して実施される個人の営利活動であるという面もあるため、学会組織が個人の営利活動の後押しをしてもよいのかという原則論というものがあります。しかし、今の日本におけるEMDRの普及及び臨床技術の向上のためにはコンサルテーション活動はとても重要なことであること、まだこれから始まろうとしており学会の後押しがないとスムーズにスタートしない状況であることなどを鑑み、学会として後押しをする形で当面は進めていこうと言うことを理事会にて決定しました。
日本におけるEMDRトレーニングの開催は10年を超えました。これまでは日本でのトレーニングの開催をすることが最大の目標であり、毎年米国からトレーナーとファシリテーターを招聘してトレーニングを開催してきました。そして、2006年10月からは米国からのトレーナーを呼ぶことなく日本人トレーナーである市井雅哉がトレーナーとして初めてのEMDRトレーニングを開催するに至りました。
EMDRトレーニングの開催は、EMDRという治療法の基本を勉強する場を提供することであり、臨床家としての技術の向上にまで寄与するものではありません。これまでは継続研修会、地方の勉強会、メーリングリストなどで、臨床技術の向上という目的で活動してきたわけですが、それでも十分とは言えません。はやり、それぞれの治療者が自分のケースをコンサルタントに提示して、個別に細かいところまで指導を受けるというコンサルテーションが、臨床技術の向上には最も効果的な取り組みと言えます。また、初心者がEMDRを実際に始めようとしたときに直面する不安や困難を乗り越え安くし、自信を付けながらEMDR治療者として成長するためにもとても必要なものであるとも言えます。
以下にコンサルテーションと、各地方の勉強会の情報を掲載いたしますので、会員の皆様に是非役立てていただき、EMDR臨床の技術向上に役立てていただければと思います。
コンサルテーション情報
コンサルテーションの目的には、大きく分けて2種類あります。(1)学会が認定する資格(「EMDR臨床家資格」または「認定コンサルタント資格」)を取得するためのものと、(2)純粋に自分の臨床技術を向上するためのものです。
(1)認定臨床家資格を得るためのコンサルテーションを受けるためには、パート1とパート2研修を終了している必要があります。また、認定コンサルタント資格を得るためのコンサルテーションには、認定臨床家資格を既に有していることが前提になります。それぞれの資格取得には、コンサルテーションの受講に加えて、EMDRセラピーを一定時間数以上経験していることなどが必要です。
(2)EMDRの臨床技術を向上するためのコンサルテーションは、パート1を終了した方なら,誰でもいつでも受講可能です。
コンサルテーションを希望する方は、以上のどの目的で受講するのかをコンサルタントにお伝えください。いずれの場合も、個人コンサルテーションとグループコンサルテーションが可能です。色々な臨床家から学ぶという意味で、複数のコンサルタントからの指導を受けてみることをお薦めします。すべてのコンサルテーションは、日本EMDR学会が認定するコンサルタントが担当しています。
現在、欧米の趨勢に習い、《パート1とパート2研修の一部として、一定時間のコンサルテーションを付加する》ことが日本でも検討されています。この場合のコンサルテーションは、認定臨床家資格のためのコンサルテーションの時間数には充当されませんので、ご注意ください。
*ご注意*EMDR学会が認定するコンサルテーションは、専門家間の学習援助関係です。コンサルタントは受講者の専門家としての責任と経験を前提として尊重しつつ、EMDRの専門技術の向上と適切な知識・情報の増大を援助します。したがって、コンサルテーションにおいては、コンサルタントは受講者のクライエントの治療過程に対する臨床的かつ法的責任を負うものではありません。この点で、受講者がまだ社会的責任を負える専門家として独り立ちしていない場合の「スーパービジョン」とは大きく異なります。