EMDR-Network, Japanニューズレター 第2号 2002年3月

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今年こそは年間に2号は出そうと思っていましたが、また新しい年、新しい春の訪れを迎えてしまいました。ストレスの時代、「癒し」が何年も流行語である中、昨年はどうしても忘れることのできない9月11日という日がありました。悲しくも我々の時代をまた1つのトラウマが彩ったわけです。我々はグローバルな世の中に生きています。遠い異国の出来事でもそのインパクトは人類全体のものです。今回のニューズレターではEMDRIA会長のWendy Freitag博士のEMDRIA Newsletterの巻頭言を許可を得て、転載いたしました。


会長の言葉 Wendy Freitag, Ph.D.
〜 今こそ、まさにEMDRの時だ 〜

私は会長として、この最後のニューズレターでたくさん言っておきたいことがありました。反省や感謝の気持ち、クリスマスの願い事などについてです。しかしながら、それらの全てのことは9月11日の出来事やそれによる余波に比べると、とるにたらないことのように感じられます。これらの2つの事を1つの文章にまとめるのは難しく感じます。それで、私の会長としての最終的な考えは、また別のところで述べたいと思います。

EMDRIAに代わって、9月11日の攻撃によって直接被害にあった皆さんに、心からの配慮とお悔やみを申しあげます。皆さんの痛みを簡単に和らげる言葉はありませんが、こんな困難な時期に、皆さんを慰めようと遠く、広い地域からもサポートやケアが提供されていることをご存じでしょう。

私たちは、程度の差はあれ、あの恐ろしい出来事による影響を受けています。メンタルヘルスの専門家として、私たちが接する人々のニーズにも焦点を当て続けると同時に、私たち自身の反応を扱うという追加の任務を負いました。さらにトラウマの治療者として、私たちはおそらく他の人よりも有利に、周囲にいる人々の反応を明らかにし、それを正常なものととらえることができました。また、私たちは人びとが経験していることを理解し、分類し、このことがトラウマに対する人間の反応の特徴であると認めることも出来ました。それにもかかわらず、それらは全ては難しく、不必要だとされてきました。

メンタルヘルスの専門家としての、私たちの最初の衝動は助けたい!ということです。EMDRIAへも、ほかの2つのEMDR組織(訳注:EMDR研究所、EMDR-HAP)とともに、可能な方法ならなんでもという援助やサービスの申し出が殺到していました。もちろん、私たちはみんなその要望を理解することができます。私たちが経験した無力感に対する反応です。おそらくこれが、EMDRの有効性やその顕著な治療効果を知っているEMDRの臨床家にとって最も身を切るような思いになっているでしょう。私は皆さんの多くが9月11日直後に私がしたのと同じ経験をしたであろうと想像できます。私はクライエントや同僚、友人から数えきれないぐらい「いつあなたはニューヨークへ行くのか」という質問を受けました。トラウマとEMDRを同義語のように思っている人びとにとっては、この質問は理解できます。しかしながら、幸運にもEMDRを治療法の選択肢として持つことができたとしても、私たちはそれを適切な時、場所で使用する必要があると私は信じています。私たちはこのトラウマによる影響が長く続くこと、そして治療の必要性が終りのないものであることを知っています。それゆえ、私は私たちのサービスを継続的な需要の中で見ています。攻撃の後、すぐに助けたいという激しい要望がありましたが、私たちはEMDRへのニーズは継続するということを認識しておく必要があります。一人の同僚が言いました。「まちがいなく・・・今こそEMDRの時だ」と。

他の組織と同様に、EMDRIAは今回のこのような規模の悲劇に対する対応の準備をしていませんでした。これにはたくさんの理由がありますが、今現在重要なポイントというのは、この目覚めの後私たちが何をしてきたかということです。9月11日の事件に対するEMDRIAの反応である“臨床家サポートプログラム”は、いくつかの異なる部分にわかれ、それを臨床家に集中させています。EMDRIAが我々の反応に方向を与え、我々の仲間である、臨床家の援助に向かわせたのは大変よくわかります。まず、プログラムの最初の部分は“同情疲労サポートグループ”です。このグループは、すべてのレベルで応しているEMDR臨床家のために設けられた相互サポートグループです。これらのグループに関するより詳しい情報や、どのようにしてボランティアもしくは参加者として申し込みをしたらよいかということは、EMDRIA Newsletter(vol.6,Issue 4, December 2001)に記載されています。“臨床家サポートプログラム”の後半部分は、それぞれの地方での教育、サポート会開催をEMDRIA地方コーディネーターに頼むことです。地方コーディネータープログラムを発展させたり、もっと多くのコーディネーターに関わってもらう機会がつくりだされてきました。EMDRIAは、適切なEMDRプロトコルのレビュー、バーンアウトや代理外傷、セルフケアテクニックなどに関するマニュアルのような、地方会のための資料やモデルを提供しています。これらのタイプの会に加えて、何人かの地方コーディネーターが彼らの地方で拡大的にメンタルヘルス専門家に情報やサポート会などを提供しています。EMDRがトラウマへの主要な治療法とされている今日、こうした会を提供して、地方のメンタルヘルス提供者の中での善意やEMDRの有効性への理解を促進させることは時機を得て、妥当なことのように思えます。もし、みなさんが地方コーディネーターになることやこのレベルに参加することに興味がおありでしたら、Jari Preston委員長(jaripreston@msn.com)かもしくはEMDRIA事務所までご連絡ください。

“臨床家サポートプログラム”のもうひとつの部分は、私たちのホームページ上に関連する情報を掲載することです。みなさんもご存知のように、私達のホームページはByron Perkins氏の援助により大部分を作りなおすという過程を進めています。しかししばらくは、みなさんは関連する資源や資料、EMDRIAの反応に関する告知などをwww.EMDRIA.org.で見れるようになっています。

“臨床家サポートプログラム”は将来起きるかもしれない災害に対して、EMDRIAがどのようにしてベストの対応をするかという最初の見通しにしかすぎません。しかし不運にも、現在そのようなことは現実であり、必然です。EMDRIAの役員や理事会は、この領域についての将来のプランを2002年1月半ばに計画しているサンディエゴでの広範囲の計画立案会議で話し合う予定です。この分野における2日間の計画立案会議はEMDRIAにとっては初めてのことで、この会議は2002年のEMDRIA学会が開催されるLoews Coronado Bay Resortで行われます。この会議はEMDRIA次期会長となるByron Perkins心理学博士が議長をつとめます。

最後に、ここ数ヶ月間、恐怖と虚無の真っ只中で、少しの光が見え、大切な教訓を学びました。ご存じのように、9月11日の出来事は多くの人々を祈りへ回帰させました。我々はそこで、私達の信仰、今日の世界における魂の重要性、人生における優先順位、そして当然のことと思っていたことについて再度考えさせられました。そしてこの出来事はまた、私達が当然のことと思わなけらばならない全てのことについて考えさせる時間を提供してくれました。また、我々が感謝しなければならないすべてのものに焦点を当てる時間をくれました。あまりに支払った代償は大きいのですが、必要な変化は失われた人命のおかげに違いありません。私は次の祈りの言葉をみなさんに届けたいと思います。これらの言葉は個人的にも私の助け、希望になったものです。これらの言葉がみなさんの慰めになればと願っています。

全てのものに神のご加護を、そして世界に平和を

Wendy J. Freitag、Ph.D.

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記憶の中に、悲しみの中に、希望の中に

2001年9月11日
勇気の魂の神よ、恐怖に立ち向かう勇気を

我々に与えたまえ。

不公正に立ち向かうとき、

我々を忍耐強く、賢明になしたまえ。

混乱に取り巻かれても、

平安でいられるようになしたまえ。

希望の魂の神よ、

絶望の中で希望がもてるように

我々をなしたまえ。

我々が他者を気遣うとき、

我々に強さと優しさを与えたまえ。

混沌の中で、

我々の魂をおだやかになしたまえ。

混乱に直面するとき、

我々の判断力を明晰になしたまえ。

許しの魂の神よ。

恐ろしい記憶の痛みから

我々を癒したまえ。

癒しと寛容の魂の神よ。

我々の困惑の世界の中で、

分断と緊張を癒したまえ。

不安で、困惑した者を

お鎮めたまえ。

悲しみと痛みを持った者を

慰めたまえ。

互いを気遣う中で、やさしく

なお強くなることを助けたまえ。

知恵の魂の神よ。

我々が予想だにしなかった方法で、

話しかけてくださったことを、

讃え、感謝します。

そして、我々の心が苦渋に満ちたときに、

あなたが与えたもうた許しを、

讃え、感謝します。

アーメン

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ニューヨークからの報告

The Center for Rapid Recovery
Behavioral Healthcare Specialist
臨床心理士
木戸晶(レベル2修了)

毎朝のように私は9時少し前に職場に到着しました。ラウンジのテレビ画面がいつもだとコマーシャルと番組で目まぐるしくシーンが変わるのに、その時はやけに同じ画像だけが映し出されていたのです。しかも白黒で。(白黒に見えた)よくみるとワールドトレードセンターでした。私が自分のオフィスに鞄を置きに行くこともせず、ラウンジに留まりテレビから流れるアナウンスを聞いていると、「センターがテロ攻撃を受けたもよう」と聞こえてきました。もうひとりのセラピストと顔を見合わせて驚き、職場の同僚が次々と出勤してきて皆、テレビの前に立ちすくみ「アメリカがテロ攻撃を受けた!」と朝の挨拶など忘れて伝えていました。ライブのCNN放送に皆釘付けになり、「私のいとこがツインタワーで勤務している」「夫がブロンクスの警察官で駆け付けているだろうか」「3年前、あそこの83階にある会社に勤務していたのよ」とひとり一人が数分間のあいだに様々な感情を体験していました。しかし、次の瞬間、私が聞いた悲鳴と叫びは一緒でした、「Oh?, my ?God!!」- ツインタワーの一つが倒壊した瞬間、何人かが泣き崩れ床にしゃがみ込み、同僚の一人が怒りを込めて言いました。「真珠湾攻撃の日本軍のカミカゼと一緒よ!」。実は私も同じことを連想していたのです。

ここニューヨークでは9月11日以降、世界は同じではなくなってしまったような感覚がありますが、これはニューヨークだけではないでしょう。アメリカ経済の繁栄の象徴ともいわれたWTCが一瞬にして崩れ落ちる光景はニューヨーク在住の約6万人の日本人を含めニューヨーク、アメリカに住むすべての人に心理的なダメージを与えたものと思われます。EMDRのセラピスト同士も集会を設け、今回のことによって自分達が受けたトラウマに対するケアと、セラピストとしてのトラウマ治療に関して情報交換とネットワーク作りを開始しました。私が参加したEMDRの活動をあげるとSuffolk郡、Nassau郡でのカンファレンス、そして同じくNassau郡の継続的なEMDRグループトレーニングですが、特に初めの2つのカンファレンスでは情報交換、ネットワーク作り、そして実際にテロ事件の被害者への心理援助としてEMDRを適用した症例の発表などがあり、加えてEMDRが治療効果の高い治療法であることを示すためにも治療依頼をきちんと窓口で整理してその必要性を認識していく、認識してもらう必要があるという確認がされました。各郡の行政機関を通してEMDRに導入することでその成果があげられるものと思われます。つまりセラピスト個人が出会うテロ事件被害者を、そのまま治療に導入することで逆にEMDRの必要性と効果が表にでない可能性が高いとうわけです。セラピストはクライエントをEMDRの窓口を通し、登録されたセラピストに紹介し、そこから治療を開始する。もちろん紹介したセラピストが治療するにしても。これによって統計的にも分かりやすくなり、この努力によってやがて政府や財団からの助成金を獲得することにつながり、クライエントに治療サービスが提供されていく基礎づくりになっていくものと思われます。

初めは心理的治療よりも「出血を止める方が先」、というような目前の問題に苦しんでいる方々が多く、未だに家族が生存しているものと信じて疑わない方々も多い状況です。マンハッタンの駅には日本の戦後の「尋ね人」のように写真入りチラシがあらゆるところに貼られています。当初は我慢して無理して生活していた方々も、あれから4ヶ月した現在も慢性的なテロや戦争への不安、炭疽菌の恐怖などから、不安のレベルは時間とともに減少するのではなく依然として高い状態にあります。もうしばらくすると堰を切ったようにPTSD症状で治療を求めてくるクライエントが殺到するのでは、と言われています。

また、在米日本人に対しては特別な配慮をもってトラウマを扱う必要があるという確認もされ、高齢者日系アメリカ人の収容所体験の想起、不適切なパールハーバーの引用、学校関係者等に求められる理解と対応、また言語の壁によって生じる効果的な情報交換が不足している点などがあげられます。今回のテロ攻撃に関して「ニューヨークで日本語での援助が受けられる機関」のホームページが立ちあげられ、微力ながら私もEMDRセラピストとして載せて頂いています(http://www.sheport.co.jp/site/mcpo/materials/conference_ny.html)。ニューヨークでEMDRトレーニング1、2両方を受けている日本人はどうやら私だけらしいので、これは責任が重大なことと受け止めております。

私は2001年4月まで高知県の病院の精神科、小児科の病棟と外来を中心に臨床心理士として勤務していました。加えて市の依頼でHIVカウンセラー、女性センターカウンセラー、DV調査研究員などなど充実した日々を送っておりました。高知に移る前は千葉県の某大学で留学生のカウンセリングをしながら授業をいくつか担当させていただいておりました。93年まで遡るとボストンの某大学と大学院を心理専攻で卒業したのですが、日本に戻ることになったのも、またニューヨークに移ることになったのも、主人の仕事の関係です。主人の仕事の都合にくっついて移動するたび面白い職場が待っているので、「今回もきっとそうなるにちがいない」と祈っておりましたところ、やはりその通りになりました(私の頭はとても単純にできていると思います)。

現在はその新しい職場The Center for Rapid Recovery という外来のメンタルヘルスセンターで勤務しております。私を含めて6人のセラピストのうち3人のEMDRセラピストが常勤で治療にあたっています。

EMDRを知ったのは、高知で臨床心理士として勤務していた頃に出会ったいくつかのPTSD症例を担当していた時、ある学術雑誌でEMDR が紹介されていたのを読んだのがきっかけです。レベル1とレベル2のEMDRトレーニングを受けたのは3年程前です。

幼稚園児の息子がバスにひかれ死亡する瞬間を目の当たりにし、しかもその瞬後、バスの運転手に「このバカ野郎?母親はどこ見てやがる!」とよそ見運転をしていたのにもかかわらず、商店街の公の場で若い母親が怒鳴られたというケース。言語化でのセラピーが非常に悲痛/苦痛(同じ幼い子供を持つ私にとっても)で、なかなか良くならなかったのですが、EMDRが奏功し回復した臨床経験から、その不思議さと論理的な根拠を探すために真面目に文献を読むようになったのです。(実は「一応どんなものかこの目で見てこよう」、という好奇心からトレーニングに参加した不謹慎な者です。)

現在の職場で私とDianne McNamaraはレベル2(今はPart 2と呼んでいる)のトレーニングを終了しています。9月11日以降これまでの臨床的な印象としてはクライエントの直接的な友人・家族等の喪失体験はないけれども、漠然とした無力感、恐怖感、不安感などが聞かれ、睡眠障害、食欲不振、外出恐怖といったこともあげられます。

また私が担当してる犯罪歴のある仮釈放、観察保護の青少年のグループでは「死」に対する関心が強く、健康な青年期の特徴、immortality (自分はこのまま死ぬことなく生き続ける)という感覚がなくなってしまったようなうつ的な発言が多くなっています。特にクイーンズ地区に墜落した飛行機事故直後は――事故現場はここから車で10分くらいの距離なので「本当にここにも落ちてくるのでは」という不安が強かったのを覚えています。ディブリーフィングをしながら「安全な場」のイメージトレーニングやリラクセーションテクニーク、そして数人はEMDRの再処理を行いました。

Dianneのクライントのうち一人は某電話局の交換手として9月11日は勤務していてトレードセンターからの泣きながら助けを求める電話、家族にメッセージを伝えて欲しいという電話、会話の途中でタワーの倒壊で通信が途絶えるといった体験をし、またその日はテロ事件のため回線が混乱し長時間の残業を強いられ、結局職場復帰が不可能となったケースがあります。強い恐怖感、受話器の先の声が消えずにいるのです。

この方は一時精神科に入院したのですが、もちろんDianneはEMDRを治療に活用する予定でいます。テロ事件以前には薬物依存(ヘロイン、コカイン、マリファナなど)のクライエントと薬物依存、HIV患者さんへのサービス提供が中心で、お決まりの治療コースにのせるというような感じでしたが、この日を境にPTSDを必ず視野にいれ、インテークの時点でPTSDアセスメントを追加しています。加えて職場での大きな問題は、特にこれまで何年も薬物依存の治療によって回復していたクライエントがリラプス(再度薬物依存行動が始まる)という症例が多くあることで、治療を「卒業」したはずのクライエントが「再入学」してくるわけです。これもテロ事件と無関係ではありません。薬物依存のクライエントのうち心的/性的/身体的虐待をうけてきた方々も多く、そもそも脆弱なクライエントはさらに自分の過去のトラウマの再体験をしているわけですから。ここThe Center for Rapid Recovery ではEMDRに使用する両側性のCD音楽があり私もDianneも大いに活用しているところです。このセンターの名称、Rapid RecoveryがEMDRによってさらに強化させると思われます。

6歳と4歳の娘達もようやく幼稚園と学校にも慣れてきて、ニューヨークにはこの先長く生活したいと思っていた矢先の出来事でしたが、事件の当日は学校でも各家庭に連絡が入り、両親の安否の確認をとっていました。私の職場は結局12時に閉鎖し、スタッフを帰宅させました。NYの中心から電車、車での交通が不通となったため、マンハッタン地域から帰宅できない両親(もしくは安否の確認のとれない場合)などは学校がシェルターとなり子供達を守っていました。9月11日以来、学校の教育も星条旗について学ぶ、自由とは何なのか、いったい何が起きているのか等、年令と理解度にあわせて先生方は考えています。どの家庭でも星条旗が掲げられ、子ども達をスクールバスに連れてくる親は、「赤、青、白」のリボンやシャツなどを着て恐怖感を払い除けようと必死でした。今でもニューヨークの住民は車の窓ガラスやアンテナに星条旗、家の玄関先には星条旗、クリスマスのイリュミネーションに星条旗と、命を落とした犠牲者、家族、勇敢な消防士、警察官に追悼の意を表し、お互いをサポートしています。近所の人々や今まで会話をしたこともない人たちが支えあっています。

もちろん日本人の私は『明日は赤、青、白の色の服装で登校させてください』という先生のメッセージに違和感がありましたが、先生も必死です。(娘にはこの3色の白と赤は日本の色ね、と教えましたが。)

歴史を変えるこの大きな事件は計り知れない精神的なダメージをアメリカに限らず世界中に与えたものと思います。これから何年、何十年かかって様々な影響が浮上してくることでしょう。EMDR-Network、JAPAN の皆様からの応援と御理解に感謝すると同時にさらなる御理解と御援助をお願い申し上げます。ぜひ皆様の知恵やアドバイス、その他意見や質問などがありましたら、御連絡ください。お待ちしております。

akira@kidokido.com

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新しくファシリテーターになって

本多クリニック 精神科医
EMDR Institute ファシリテーター
本多正道

わたしは1997年秋にvan der Kolk氏のトラウマに関する講演を東京で聞き、その中でEMDRがPTSD、トラウマの治療にとても有効であると聞いたのがEMDRとの出会いでした。1998年春には神戸でEMDR Level 1のトレーニングを受講しました。

私は精神科医として当時アダルトチルドレン(AC)と呼ばれていた概念に興味を持ち、詳細に生育歴を聞き、語りながら除反応と癒しを進めたり、グループ治療を取り入れたりして治療していました。丁度斉藤学先生の本を読んで、自分流に実践していたわけです。それなりに治療効果は上がっていたような気がします。

しかし、EMDRの技術を学んで実践し始めてから私の治療スタイルは年々変化してきました。最初は失敗もあったり、おっかなびっくりやっていたEMDRでしたが、延べ100セッションを越えた頃から、どのような人にどのようなタイミングでやれば成功するかが大体予測できるようになってきました。ACという概念は、精神医学的にはvan der Kolk氏等が提唱するcomplex PTSDに近いものかも知れません。そして、complex PTSDに積極的にEMDRを使いはじめて私の治療スタイルは大きく変わりました。EMDRの良い適応である患者さんに対してはめざましい効果が見られました。グループ治療の参加者も見る見る減っていきました。EMDRにより苦しみが解決すると治療する必要がなくなるからです。治療期間も短くなっていきました。

その一方で、EMDRがうまく適応できない一群の患者さんがいることもわかってきました。解離が強くてトラウマ記憶が意識に上りにくい場合、トラウマ記憶はあっても感情が麻痺して感じられない場合、トラウマ記憶の苦痛が強すぎて治療が再外傷になりそうな場合等です。これはEMDRだけではなく催眠の技術も取り入れてリラクゼーション、意識下へのアプローチ、自我強化など、色々な技法が必要になってくるかも知れません。

私は精神科医になり16年になりますが、EMDRほど衝撃的な治療技術に出会ったことはありません。私自身この技術を高めていきたいと心から願っていますし、毎年米国から教えに来てくださる先生方との出会いを続けていきたいという思いもありファシリテーターになろうと決心しました。そして、EMDRの日本における普及に貢献できることは私にとってとても大きな喜びでもあります。また、米国の先生方や日本においてEMDR Network Japanの方々の人間性に引かれている面もあります。権力や名声などの私欲によって動いているのではなくて、純粋に人の心を助けることに生き甲斐を感じておられる方々との出会いは本当に心地よいものです。

これからはファシリテーターとして頑張っていきたいと思います。皆さんと共に自分の技術を高め、人の心を救うことに共に喜びを感じることができればと思います。

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コンサルテーションの必要性

苫小牧植苗病院精神科医
瀧澤紫織(レベル2修了)

私は北海道の田舎の単科精神病院に勤務していて、ごく最近までPTSDの方に接する機会などあまりないと思っていた。そのような私がこのトレーニングを受けた理由は、ある性暴力被害にあった治療抵抗性のPTSDの女性のおかげだ(しかしこの女性はEMDRを体験することなく私の前から姿を消したのだが・・・)。まず、3年前のEMDRのトレーニングレベル1そのものが私にとって卒後教育的で、解離について新しい見識を得、認知行動療法についての概観を知ることができたのは大きな収穫だった。

EMDRIAの膨大な症例と考察から練り上げられたプロトコルは、強迫的にまで緻密でうんざりしていたが、今から思うとPTSDの治療においてはプロトコルがあることは問題の予見性にもつながり、大きな支えになると思う。当時、私はこの緻密な治療法を一人で使う自信はなく、また治療中に想定される強烈な解除反応や症状が悪化する不安などがあったためコンサルテーションをお願いしたわけである。

コンサルテーションは琉球大学の市井先生が引き受けてくださったので、北海道と沖縄という地理的ハンディがあったがこの通信時代、TELやFAX、インターネットを使用すれば何にも支障はなかった。コンサルテーションの1症例目は重症の不安神経症のクライアントで薬物療法の効果に限界のある方だったが、systematic desensitizationとEMDRの併用で見事に寛解した。一年以上フォローアップをしているが現在通院は6週間に一回、2週間に1回cloxazolam 2mg使用するのみで元気に就労している。このビギナーズラックに支えられ(続く2症例も著効)、トレーニング2を受け、現在もEMDRを使用している。

コンサルテーションを受けるメリットは他の精神療法のコンサルテーションと大きな違いはないと思うが、PTSDの治療につきものの逆転移に対抗するため、あるいは治療者側にも不可欠な安心感を獲得するために非常に有用だった。また、EMDRIAのトピックスを市井先生から教えていただいたことも臨床場面で大きく役立った。勿論治療が難航している例もあるが、自己の症例をコンサルタントに提示することが日本のEMDR治療の研究に寄与し、クライアントのサービス発展につながると考えられるので、このような意味でもトレーニング終了後、EMDRの使用をためらっておられる方には、是非コンサルテーションをお勧めする。

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EMDR国際学会2001年大会印象記

琉球大学教育学部
EMDR Instituteファシリテーター
EMDRIA認定コンサルタント・インストラクター
市井雅哉

昨年の6月、私自身3度目となるEMDR国際会議に出席した。幅広いアメリカのほぼ中央南部に位置するテキサス州オースティン、日本からはかなり南に下るために大変長いフライトであった。内陸にも関わらず夜もあまり温度が下がらないのは沖縄のよう。湿度の高さは日本を思わせる。周辺に素敵なアウトレットモールがある高い吹き抜けのルネッサンスホテルでの年次大会、いつもながらアメリカでの臨床心理士の地位の高さを感じさせる豪華な雰囲気であった。今年は寂しいことにShapiro博士が発表はおろか参加すらしなかった。サバティカルで完全休養に入っているとのことで、充電して今年からまたパワフルに活躍してくれることだろう。それも影響してか、昨年より若干減って800名ほどの参加者と聞いている。ヨーロッパでも学会が立ち上がり、5月に大会があったせいで、昨年見た顔がちょっと減っている気がしたが、地域に根付いていくことも必要であろう。

プログラムは今年も多岐にわたり、継続性とともに大きな広がりを感じさせる。新しい適用の工夫があり、他の心理療法との融合の提案も増えている。精神分析の考え方もEMDRに取り入れられてきている。脳生理の分野からも機序へのアプローチが進み、適用対象も加害者、俳優、QOL、身体など広がりを見せている。これを見ているとEMDRは単なる新しい心理療法に留まらず、新しい人間理解の枠組みの提案であると感じざるを得ない。心理学や精神医学全体にもインパクトを与えうると思うのは過大評価であろうか? 私にとっての大きな成果は、「安全志向EMDR・深刻な自我状態障害の自我状態治療(Carol ForgashとJim Knipe博士)」で学んだ解離へのアプローチである。解離状態を手を使ってクライエントに自己評価させる方法(手のひらを前に伸ばした状態が「今、ここにいる」状態、手を頭の後ろ辺りに置くのが、「解離してここにいない」状態)と、解離状態から出させるために、周囲を見回させたり、クッションのキャッチボールをするする方法は、帰国後すぐに自分のクライエントにも使ってうまくいった。

私は実はこの学会期間中、知り合いを見つけては片っ端から自分のケースの話をして、コンサルテーションを受けた。慢性のトラウマを抱えた2人のクライエントに関して、解除反応や解離の扱いに窮していたからだ。私のつたない英語に一生懸命耳を傾け、さまざまな立場から意見をもらった。治療関係の枠組みを指摘されたり、なかなか下がらない罪悪感に関して「その状況では罪悪感を持つことが妥当だ」と指摘されたり、幼少時の家庭環境の再吟味を提案されたり、地球規模の暖かいサポートを感じ、自分が一人でないと強く勇気づけられた。我々が世界中で最も難しい臨床をどの流派よりもうまくやっていると言っていたAndrew Leeds博士の言葉も心強かった。毎年元気になって日本に帰ってくることができる。今年も6月20-23日、サンディエゴで行われる。国境を越えてメキシコまでランチを食べに行こうと早くも誘われている。

EMDR国際学会年次大会(2001.6.21-24、オースティン、テキサス)プログラム
EMDR2001:理論、実践、研究の進歩適用の工夫

  • 子ども時代の虐待とネグレクトのサバイバーの治療におけるEMDRの臨床適用
  • 逆転移と主観の間:トラウマを負ったクライエントをEMDRで治療する方向性
  • EMDRにおける認知の編み込みと資源の植え付けの上級適用
  • EMDRにおける治療的編み込みと基礎の構築
  • 成人や子どもにおける核となる愛着問題の治療
  • EMDRへの戦略的発達モデル:概観
  • 脳のパフォーマンスと可能なEMDR介入
  • EMDRの統合集団療法プロトコル
  • 今書け!EMDRの使用を強め、広げるための書くことの統合

作用機序・モデル・脳

  • 睡眠、夢、PTSDとEMDR:誰が何を起こしているのか?(Robert Stickgold博士の全体講演)
  • EMDR加速情報処理での小脳の役割の探索:最近の洞察と推論
  • ゲート理論:機能的な状態変化を発展させる加速情報処理モデル
  • 心理療法とトラウマの解決:メンタルヘルスと神経統合(Daniel Siegel博士の全体講演)
  • 研究シンポジウム2:EMDRにおける眼球運動と他の両側性の刺激の役割
  • 発達する脳の対人神経生物学にむけて

他の心理療法との融合

  • 精神分析とEMDR:理論的、臨床的な橋
  • 新しいストーリーがあるんだ。EMDRとナラティブ・アイディアの統合と語られた自己の神経生物学
  • 「私の子を治せ!」家族療法の文脈で非行の問題を持つ思春期の子にEMDRを用いる
  • 感情管理技能訓練(AMST):基礎と上級の技法
  • EMDRとフォーカシングの使用
  • EMDRと催眠
  • EMDRとBowen理論:治療における技法と理論の自然な統合
  • EMDRと瞑想の組み合わせ
  • EMDRと意識の心理学
  • EMDR

解離

  • 解離過程とEMDR:つながり続ける
  • 安全志向EMDR・深刻な自我状態障害の自我状態治療
  • 解離性障害の治療における上級の適応

さまざまな適用対象

  • パニックと恐怖症:診断、治療、EMDRの融合
  • 嗜癖障害におけるEMDRの適用
  • 相互援助:緊急援助隊とのデブリーフィングへのフォローアップとしてのEMDR
  • 青年の性的加害者へのEMDRの使用
  • 加害者への動機づけ面接
  • EMDRのリソース志向モデル(病理を越えて)
  • 人生の向上:EMDRのためのQOLの焦点
  • 俳優のコーチをするEMDR:癒しの術の形

子ども

  • 子どものトラウマ治療介入:神経科学とEMDRと描画の組み合わせ
  • 深刻な学習障害の子ども:対処、受容とEMDR
  • ADHDの子どものためのEMDR両側性の運動グループ
  • ニワトリとタマゴがジレンマを分け合うとき

身体

  • 研究シンポジウム1:EMDRと健康問題
  • 慢性疼痛:Mark Grantのプロトコルの臨床テスト
  • EMDRと身体
  • EMDRの付属物としての身体日誌
  • EMDRのための認知の枠組みとしてのインナーチャイルド治療

文化

  • トラウマ、文化、公衆衛生(Claude Chemtob博士の全体講演)
  • 目から目へ? 文化間文脈での両側性刺激
  • 母国語でのEMDRプロトコルの適用に際して体験した困難

教育・訓練

  • EMDRとコンサルテーション
  • 大学院や専門家向けの場でEMDRを教える

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最近の国内の動向(敬称は略させていただきました)

国内学会でもEMDRに関する発表が増えて来つつある。9月14〜17日に東京の日本大学で行われた日本心理臨床学会第20回大会では、「発達途上の辛い過去に情緒的交流を探す―EMDRを適用して感情が流れることを願って―」という事例研究が筑波記念病院のカウンセラー北村雅子、座長宮田敬一(新潟大学、現在お茶の水女子大学)により行われ、対人的な問題を抱える既婚女性の幼い頃の親との記憶を扱って夫婦関係、対人関係が改善された事例が提示された。また自主シンポジウム「EMDR(トラウマ記憶を処理する心理療法)」は市井雅哉(琉球大学教育学部)、田中ひな子(原宿カウンセリングセンター)、有村達之(九州大学医学部附属病院心療内科)、大河原美以(東京学芸大学)により話題提供が行われた。この自主シンポにはせまい50人定員の部屋に100名ほどが押し掛ける大盛況となり、椅子運びに奔走することになった。

EMDRが何か全く知らない参加者もいた反面、参加者の3割程度が研修を終えた人たちであったことも嬉しかったし、会場がどよめいた瞬間だった。4名のシンポジストは、概論、性被害、職場ストレス、不登校とそれぞれの特性を活かした刺激的な発表であった。

10月10〜12日に沖縄で行われた日本行動療法学会第27回大会では、シンポジウム「治療法としての行動療法諸技法の新しい展開」の中で、「EMDRは行動療法に何を提案するか?」と題して市井雅哉(琉球大学教育学部)が、EMDRと行動療法・認知行動療法との類似点と相違点を整理した。ケーススタディでは、「パニック障害に対するEMDRの効用と限界」と題して熊野宏昭(東大大学院医学系研究科)が、パニック障害者の発作の記憶をEMDRで処理し、アルバイト就労が可能となったが、断薬で再燃し、薬物で長期的に再発を防止する必要性が指摘された。また、研修会では「EMDRの可能性」と題して市井雅哉が歴史、治療段階、症例提示を行った。3日間の会期中毎日EMDRの発表があり、会員への大きな刺激となった。

11月2〜4日の大阪での第2回環太平洋ブリーフ学会では、シンポジウム「被害者相談:暴力による被害に対する治療・援助・支援のあり方」の中で、「EMDR」を市井雅哉が話題提供した。単回性のトラウマと、慢性のトラウマの違いをモデルで示し、後者に対する肯定的な資源の開発と植え付けの必要性を指摘した。

11月23〜25日、大阪教育大学他で行われた日本カウンセリング学会第34回大会では、「失恋により生きる力を失ったあるOLの回復のプロセス―モーニングワーク、EMDR、自律訓練、生きる力の回復―」という事例研究が加藤勇三(北千住旭クリニック)により、また、「眼球運動によるストレス軽減効果の検討(1)(2)」が田山淳(宮城県スクールカウンセラー)、芦澤志帆子(岩手県障害者職業センター)によって大脳トポグラフ解析のデータも交えて発表された。水平の眼球運動が統制群よりも、記憶に伴う不快な感情を有意に低下させることや、垂直の眼球運動がむしろ低下させないことを示している。彼らは脳波が専門の菅原正和(岩手大学教育学部教授)と共に、岩手大学教育学部研究年報でもEMDRに関する基礎的な報告を行っており、興味深い。

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EMDR関連の出版、研究会などの予定

Shapiro博士のサバティカルの影響で延びていました「EMDR臨床症例集(仮題)」が崎尾英子編集でようやく今春、星和書店から出版予定です。国立小児病院の先生方、大河原美以先生、鈴木廣子先生などの多くの興味深い臨床例と共に、市井雅哉が「EMDRの訓練システム」について書きましたので、EMDRの訓練システムのみならず、世界的なEMDR組織の関係についても理解していただけると思います。

延び延びになって皆さんには大変ご迷惑をかけています、EMDRのバイブルとも言えるShapiro博士のEye Movement Desensitization and Reprocessing: Basic Principles, Protocols, and Procedures(Guilford Press) 「トラウマ記憶を処理する心理療法-EMDR(仮題)」が二瓶社から市井雅哉の監訳で今年夏頃には出版される予定です。去年のニューズレターにもお詫びを書きましたが、またまたお詫びをすることになろうとは。偏に私の怠慢のなせる技です。何卒ご容赦ください。

2月24日に神戸にて第1回の勉強会が行われました。年に1度ペースのトレーニングの間をつなぎ、実習やコンサルテーションの機会を提供して、みなさんのEMDR実践をサポートすることがねらいです。午前中の実習は臨床実践の量でレベル分けし、午後は田中究先生の司会のもと、本多正道先生が単回のPTSD事例を、白川(稲川)美也子先生が慢性のPTSD事例を提供してくださいました(この原稿作成時点ではまだ予定です)。

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今年のトレーニングの予告今年のレベル1、レベル2トレーニング、およびコンサルテーションは、

レベル1 8月3、4、5日(土〜月)
場所:早稲田国際会議場 03-5286-1755
レベル2 8月8、9、10日(木〜土)
場所:早稲田国際会議場 03-5286-1755
グループコンサルテーション 8月6日(火)
場所:早稲田国際会議場 03-5286-1755
という日程で、アメリカ本国のみならず、日本、フランスなど世界中のトレーニングで活躍しているAndrew Leeds博士を招いて行われます(通訳付き)。申し込み・問い合わせはホームページwww.emdr.jpでご確認ください。

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EMDR-Network JAPAN について EMDR-Network JAPANは、1996年3月オーストラリアからGary Fulcher博士をトレーナーとして招聘し、第1回目のEMDR レベル1のトレーニングを27名規模で行った時にその修了生達の組織として生まれました。その後、1997年からは、2000年までは毎年春にアメリカからカリフォルニアの個人開業の臨床心理士Andrew Leeds博士をトレーナーとして迎え、レベル1、レベル2両方のトレーニングを行っています。97年東京で18名、98年には東京と神戸でレベル1を各36名、1999年に東京で60名、2000年には東京で3月80名、そして8月はカリフォルニアの臨床心理士Pricilla Maarquis博士を迎え、50名のレベル1トレーニング、40名のレベル2トレーニングが行われました。2001年にはまたAndrew Leeds博士をトレーナーに、東京で90名のレベル1トレーニング、のレベル2トレーニングを行い、現在登録メンバー数は約330名程度です。

メンバーは参加資格の点から、精神科医、心療内科医、臨床心理士などがほとんどです。高名は臨床家、研究者の方たちの参加も増えてきてうれしい限りです。

このネットワークの目的は、EMDRの臨床実践や研究に関する情報交換、治療を求めるクライエントをリファーし合える体制作り、さらに日本におけるEMDRの健全な発展のための組織作り、災害時などにボランティアを派遣できる体制作りです。昨年ようやくホームページwww.emdr.jpを立ち上げました。内容は今後どんどん充実していく予定です。

今年も9月に名古屋で行われる日本心理臨床学会で自主シンポジウムを開催する予定でいます。シンポジストはまだ未定ですが、9/(土)5:00〜7:00です。是非ともご参集下さい。

EMDRのトレーニングを終えている方で、ネットワークメンバーにまだ登録されていない方は是非ご登録下さい。名簿に記載されますと、クライエントをご紹介したり、ニューズレター、勉強会など継続研修のお知らせなどが確実にお届けできます。

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メーリングリストについて

待望のメーリングリストがとうとう立ち上がります
メーリングリスト発足のお知らせ   本多正道

EMDR Network Japanの皆さん、昨年の夏のトレーニングでもお伝えしたのですが、日本におけるEMDRのメーリングリストを立ち上げることになりました。EMDRのメーリングリストと言えば、英語のものはあったのですが、言葉の壁もあり日本語のものが望まれていました。昨年 emdr.jpというドメインを取得し、 https://www.emdr.jp/ というホームページを立ち上げ、EMDRについての情報を広く発信できる体制を作りました。そして、次の段階としてメーリングリストを立ち上げることになりました。

EMDRについての様々な情報や経験の交換の場、相互の学びの場になればと思います。

クライアント個人が特定できるような情報を記述することは禁止します。実際の治療事例について議論する場合には、参加者は、情報を送る側も受ける側も、心理治療の専門家としての守秘義務を持っていることを自覚しながら、情報が他に漏れないように最大限の配慮と注意を払ってください。

メンバー同士の敬称は「〜先生」などの上下関係を感じさせるものよりも「〜さん」で統一して、平等で対等な場になることを推奨します。EMDR Network Japanは医学、心理学、その他様々な分野の人々の集まりであるがために、平等で対等と言うことを大切にしたいと思います。

参加希望者は、下記の「EMDR Network Japanメーリングリスト規則」をお読みいただき、内容について理解と賛同を頂いた上で、https://www.emdr.jp/のホームページ上にあるメーリングリスト参加申し込みの書式に漏れなく記入の上、メールにてadmin@emdr.jp 」宛にお申し込み下さい。メーリングリストに登録するメールアドレスと同じアドレスから送信してください。レベル1、レベル2、大学院の授業(EMDRIA Approved Course)のいずれかを終了している方であることを確認の上で登録したいと思います。

参加希望者はそれまでにメーリングリスト規則を読まれた上で、申し込みの手続きをしてください。

メーリングリストの参加は随時受け付けますので、いつからでも参加することが出来ます。また、退会したい場合には「admin@emdr.jp 」宛に退会したい旨のメールを送って頂ければ退会することができます。

【EMDR Network Japanメーリングリスト規則】

  1. EMDRのより深い理解と臨床応用の技術を高めることを目的としたメーリングリストである。
  2. 参加資格は、EMDR Network Japanの正会員または準会員であり、レベル1トレーニング以上を終了している者とする。大学院の授業(EMDRIA Approved Course)を終了した者も含まれる。
  3. 参加者による平等で相互的な情報交換の場とする。日本の社会ではありがちな職業的ヒエラルキーが、メンバー間に上下関係を作らないためにも、メーリングリスト内ではお互いの敬称を「〜先生」ではなく「〜さん」で呼ぶことが推奨される。
  4. 管理者を置いて、技術的な管理および、規則に基づいた投稿内容の観察を行い、違反者に対しては警告を発したり、不適切な投稿は削除したり、違反者を退会させることが出来る権限を与え、心地よく建設的な学びの場になるように努めることとする。
  5. 規則および管理者は、EMDR Network Japanの運営委員会で決定される。
  6. 投稿の最後には、実名、所属、終了コースを明記すること。
  7. 他を誹謗中傷したり、他の参加者が不快を感じる発言をすることは禁止する。
  8. メーリングリストで入手した情報は、投稿者の許可無く外部に流出させることは禁止する。
  9. クライアント個人が特定できるような情報を記述することは禁止する。実際の治療事例について議論する場合には、情報を送る側も受ける側も、心理治療の専門家としての守秘義務を持っていることを自覚しながら、情報が他に漏れないように最大限の配慮と注意を払う責任を有する。
  10. あらゆる広告・宣伝を禁止する。

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編集後記:(M.I.)

編集責任 EMDR-Network JAPAN代表
市井雅哉
連絡先 〒903-0213
沖縄県中頭郡西原町字千原1
琉球大学教育学部 市井研究室内
EMDR-Network JAPAN事務局
e-mail msyichii@edu.u-ryukyu.ac.jp
電話&Fax 098-895-8423
郵便局振り込み番号 01760-4-38541
名義:EMDR-Network, JAPAN
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